タクシー会社がサ高住を始めたワケ(新潟)

■通院が困難な患者さんに喜ばれる移動サービスが提供できないか?

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 「人工透析患者の家族会」から通院移動の苦労を聞いたことがきっかけで介護・福祉に興味を持つようになった相互タクシーの小川浩司社長。「地元密着のタクシー会社として、移動に不便を抱えている方のご支援で貢献したい」という思いで福祉デマンド・ネットワーク研究会』を設立。

 腎友会(透析患者様家族会)、市福祉課、病院と連携し、市からの助成金獲得にも成功し、透析患者様の通院送迎事業をスタートされました。

 透析患者は定期的な通院が必要にも関わらず、公共バスの本数は少ない。市内に4ヶ所ある透析病院による通院送迎は行われておらず、患者さまは体力的に自分で運転するのも難しい…。そんな困難な環境にある患者さまの通院負担を軽減できないかというのが事業の始まりでした。

■金銭的負担を押さえるための「福祉デマンド乗り合いタクシー

 患者さまに金銭的な負担がかかりすぎると事業の継続性が危ぶまれる。「お一人ずつの金銭的負担は最小限に、利便性は最大限に」をコンセプトに作り上げたのが、「福祉デマンド乗り合いタクシー」でした。

 さらに、行政とのコラボにより、自力歩行可能な方には補助金を活用した支払い制度も構築。車椅子やヘルパー介助が必要な方には、訪問介護による通院乗降介助を提供することで、安全、安心、安価な通院支援の仕組みを整えました。

 公共バスと民間タクシーの双方の良さを掛け合わせることで、地域の患者さまの悩みを一つ取り除くことができたかな、と実感できるようになったころ、また新たな問題が見えてきました。それは、在宅治療ができない重度患者さまの存在です。

■「タクシー会社がサ高住を経営できるのか?」という不安

 「ご自宅での生活が難しくなった透析患者様に安心して暮らしていただくためには、サービス付き高齢者向け住宅しかない」。

 そうは思っても、「移送」を本業とするタクシー会社が、まったく畑違いのサービス付き高齢者向け住宅に参入できるのかという不安は相当なものでした。

 しかし、「やりたい」とアンテナを張っていると、出会いはあるもの。訪問介護や居宅介護支援で成長し、サービス付き高齢者向け住宅でも成功事例を持つやさしい手の話を聞き、バックアップを受けることに。

 実際の運営で培ったノウハウをもとに開発されたシステムの使い方や、お客様獲得のためのアドバイスをもらう中で、自分たちがサ高住を始める理由や、地域の皆様にどんなお役立ちをしたいのかがクリアになりました。「異業種でもサ高住事業を必ず成功させる!」。そんな強い思いが芽生えてきました。

 構想から3年、2016年9月に相互の家@堀金をオープン。訪問介護事業所を併設したことで、通院乗降介助を算定することができ、さらに安価で送迎できることになりました。

■医療と連携したサ高住は地域のニーズに合致したサービス

 「誰のお役に立ちたいか」を徹底して考えたことが奏功したのか、開所以来満床が続いています。ご本人様・ご家族様だけでなく病院のソーシャルワーカーからの問い合わせもが多いことからも、医療と連携したサービス付き高齢者向け住宅は、地域に必要とされる事業だったことをあらためて実感しました。

 今後は総合移動支援業務をベースに、さらに選ばれる施設になりたいと語る小川社長。現在、2棟目の開所に向けて準備中です。

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