成長する高齢者施設

新規参入成功への近道は開業する施設選びから

高齢化社会を迎えて、ますます需要が高まる高齢者施設。新規参入を検討している方には、社会的な意義もある有望な業界といえます。

しかし、業界全体では深刻な人材不足問題、介護保険制度、入居者獲得などクリアすべき課題が多いのも事実です。東京商工リサーチの調査によると、2016年の倒産件数は108件、半数は設立5年以内の倒産であり、新規参入業者の苦戦がうかがえます。

このような状況下、介護業界への新規参入で成功するためには、多種類の施設のうち、どの施設が参入に適しているのか考えることが成功への近道です。

そこで今回は、比較的参入しやすい各施設の特徴や初期投資の目安などをご紹介します。

高齢者施設の種類

高齢者施設はご存知のとおり多くの種類があります。民間の経営である有料老人ホームも、介護付き、健康型、住宅型などに分かれ、そのほか、グループホーム、ケアハウスなどがあります。

ここでは、比較的新規参入がしやすいといわれている3つの施設についてご紹介しましょう。

介護付き有料老人ホーム

原則的に65歳以上、要介護度1以上の方が入居する施設です。常駐する介護スタッフで、食事、入浴、排泄などの介護を行います。人員の基準、施設の設備など老人福祉法に定められた運営基準に合致している必要があり、都道府県知事から指定を受けます。

主な収益としては、入居一時金、毎月の利用料、介護費用などがあり、厚生労働省の「平成29年度介護事業経営実態調査結果の概要」では収益の目安である収支差率が2.5%(特定施設入所者生活介護)となっています。

ケアハウス

軽費老人ホームC型ともよばれる施設です。以前は社会福祉法人、医療法人などに経営が限られていましたが、2001年より民間企業でも経営できるようになっています。

自治体の助成によって比較的低額な利用料で入居が可能なため、入居待ちの多い施設です。介護も提供するため、介護付き有料老人ホームと同様に、特定施設入所者生活介護の指定を受ける必要があります。

収益は主に利用料、介護費用で、入居一時金は有料老人ホームより低額な場合が多いようです。収支差率は有料老人ホームと同じ2.5%となります。

サービス付き高齢者向け住宅

有料老人ホームやケアハウスは利用者に対して利用権を提供していますが、サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)は賃貸権を提供します。そのため、一時金などはなく、敷金や礼金のみなので、利用者は低額な費用で住むことができます。

サ高住に義務付けられているサービスは「安否確認サービス」「生活相談サービス」の2種類で、介護サービスは義務付けられていません。原則として身の回りのことは自分でできる利用者が中心となります。介護サービスが必要な場合は外部業者に委託するかたちをとることが多いようです。

収益の中心は家賃収入で、ほかの施設のように一時金での収入は期待できません。しかし、介護サービスにかかる設備投資や人件費は削減できることになります。収益性は住居賃貸業とほぼ同じと考えてよいでしょう。

初期投資の目安と助成金

福祉・介護業界に新規参入を考えるにあたって、1番に考えるのが資金です。大まかな初期投資としては、上記でご紹介した3施設の場合、規模にもよりますが、2億円から4億円程度になると予想されます。物件自体の取得費に加えて、レクリエーションなど、さまざまな設備も含めた概算です。運転資金を考えれば、さらに準備をしておいたほうが安心でしょう。

大きな規模の投資となりますので、国や自治体からの助成金を考えたいところですが、実は基本的にサ高住を除き助成金はありません。ケアハウスの場合、社会福祉法人であれば国の補助があったり、民間企業でも自治体が個別に補助を行う場合もあったりしますが、大きな補助金は期待しないほうがよいでしょう。

これは、なるべく介護に対する予算を抑えたい政府が、介護報酬が支払われる有料老人ホームやケアハウスよりも、高齢者の住居を確保しつつ、介護報酬を抑えたサ高住にシフトしていく政策を打ち出していることによります。

サ高住の場合は建築費の10分の1以内の助成金(上限が1戸あたり100万円)、診療所などを併設の場合は上限1,000万円の助成金などが交付されます。また、固定資産税、所得税など税制面での措置もとられています。

新規参入における経営の注意点とは

高齢化社会を迎えた日本の福祉・介護業界の規模は、今後ますます拡大していくことが予想されます。しかし、そこには多くの問題も含まれています。

高齢者が増加し、市場は拡大するにつれ、実質的には改定ごとにマイナスになるという矛盾を抱える介護報酬。社会的地位がなかなか上がらず確保が難しい人材問題。特にこの2つは業界にとっての大きな問題であり、新規参入時にも注意しておかねばなりません。

経営努力による収益性のアップ、それに密接にかかわる人材教育と人材確保という、この業界特有の問題をクリアしていくためには、福祉・介護業界に精通したパートナーにアドバイスを受けることも考慮に入れるとよいでしょう。

施設の種類は業界の動向を見極めながら

高齢者施設はさまざまな種類があり、施設ごとに収益の構造も違ってきます。助成金や税制面からはサ高住が有利で、政府の供給推進施策もあり、今後も増加することでしょう。しかし、参入しやすいサ高住には当然過当競争が予想されます。

介護付き有料老人ホームやケアハウスは、サ高住に入居できない要介護度の高い高齢者の受け皿となり、ますます差別化が進むと考えられます。

拡大している市場ですが、先の見通しがはっきりしない面があり、介護報酬や人材の問題も考える必要があります。新規参入で成功するには、大きく動いている業界の動向を見極めて、開業に最適な施設を見定めることが重要でしょう。

「やさしい手」は、自ら介護事業を手掛ける事業者です。長年培ったノウハウから、新規参入に必要なあらゆるアドバイスや、経営に関するシステム構築も提供しています。

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