介護職の人材育成のポイントは?

実際の手順や支援制度を知ろう

介護事業を安定させるには、介護職の人材育成が不可欠です。ただでさえ人手不足な介護業界では、即戦力として期待できる人材を採用するよりも、自社の事業にマッチした人材を育てるほうが、しっかりとした運営がしやすいといえるでしょう。今回は、介護職の人材育成で重視すべき点や実際の手順、支援制度の一例を解説します。人材育成についてのポイントを知り、運営に役立てましょう。

介護業界での人材育成4つのポイント

人材育成をうまく進めるためには、次に解説する4つのポイントに気をつけながら育成を進めていくとよいでしょう。

1. 人材育成をシステム化する

誰にとってどんなことが課題になっているかを洗い出せば、スタッフの成長を公平に評価しやすく、全体に目をむけやすくなります。「なんとなく」でやらずに、スタッフの評価のやり方を明確にしましょう。例えば「能力評価」→「改善に向けての取り組み(研修・実践など)」→「目的達成度チェック(能力再評価)」など、決まったサイクルでスムーズに人材育成・レベルアップができる「システム化(仕組みづくり)」が重要です。

2. セミナーや研修を活用する

仕事に関する教育を、先輩スタッフからの口頭説明で済ませていませんか? 活用できる人材を育てたいならば、プロによるセミナーや研修制度などを導入するのがおすすめです。施設内だけでの教育には限界があることもあり、コストが多少かかったとしても、長い目で見た場合には外部の手を借りたほうが効率的かもしれません。人材育成に困ったときにはプロに相談してみましょう。

3. スタッフの「リーダー」育成に力を入れる

経営者が細部まで育成や状況把握をするには無理があります。末端のスタッフに至るまでの管理には「リーダー」となるスタッフの育成が必要です。人材育成というと、目先のスキルアップなどに集中してしまうことがありますが、「スムーズな運営」を目指すなら、リーダーの存在は不可欠です。

4. 公的な人材育成支援の活用

具体的な制度の一例は後の章で解説しますが、国や自治体では介護職の人材育成を支援する制度が用意されているケースが少なくありません。まずは、事業所で利用できる制度にどんなものがあるかを把握し、利用できるものはどんどん使っていきましょう。

人材育成の具体的手順の例

人材育成をするには、育成手順をしっかりと決め、効率よくスキルアップを目指す仕組みが必要です。基本的には、計画、実践、効果のチェック、改善といったいわゆる「PDCAサイクル」をまわしていくことになりますが、ここでは具体的な手順を4ステップで解説します。

1. 人材育成の課題を明確にする

スタッフ個人に対しても、組織全体に対しても、スキルアップ・育成を図るための「目的」や「課題」があります。まずは、人材育成における「課題」が何であるかを、チェックシートなどを利用して洗い出すようにしましょう。チェックシートは独自のものを用意するほか、在宅介護業であれば、厚生労働省から提供されている職業能力評価シート(「在宅介護業の人材育成のために」)などがありますので、事業所に合ったものを使ってください。

2. 育成に必要なツールを準備・課題解決の実践

課題がはっきりしたら、育成に必要なツール(マニュアルや研修システム、セミナーなど)を準備し、それらを使って課題の解決に取り組みます。「できないこと」を「できる」ようにするために、セミナーなどで知識ややり方を学んだら、現場で一定期間実践することでスキルの定着を目指しましょう。

3. 課題が解決できたかをチェックする

課題解決に向けての取り組みを十分に行った、もしくは決められた期間取り組んだあとは、課題が解決されたかどうかをチェックして、どの段階までクリアしたかを明確にします。

4. 取り組み方の改善・課題の再発見

課題の解決が不十分だった場合は、取り組み方の改善方法を考え、再び解決に向けて実践していきます。課題がクリアできたと判断できた場合は、次のステップに進むため、課題を再び洗い出す作業に入ります。

このような育成手順サイクルを繰り返し、スタッフを着実にステップアップさせていきましょう。

国・自治体の公的な介護人材育成支援制度を活用しよう!

介護の人材育成をよりスムーズにするため、国や自治体では次のような支援制度が採用されています。

介護人材育成事業者認定制度

人材育成や職場環境の改善に力を入れている事業者として自治体が認めた事業者を認定・公開する制度のことです。就職希望者を増やすほか、職場のモチベーションアップをねらいとしており、直接的に人材育成がサポートされるわけではないですが、人材育成の活性化が期待できます。

介護人材育成支援事業補助金制度

その名称どおり、人材育成に必要な費用の補助が受けられる制度です。人材育成にかかる費用が心配な事業者は、このような制度をうまく利用すると負担が減らせますので、積極的に活用しましょう。

介護事業をスムーズに運営するには人材育成が必須

介護スタッフの人材育成は、人手が集まりにくい介護業界において、不可欠なものです。育成のポイントを理解し、効率よく育成する仕組みづくりを作り、しっかりと行っていくことで、戦力になる人材を育てていくことができます。人材育成を促進する制度としては、国や自治体から支援が受けられることもありますので、ぜひ活用していきましょう。

著者プロフィール

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池田奈帆美
ミュージカルと歴史と旅をこよなく愛する水瓶座。通訳ナシでブロードウェイを観たいという動機で外大に進学。卒業と同時に編集者としてメディア作成に従事していたが、懇意にしていた企業の倒産を機に中小企業診断士の勉強を開始。7年かけて学んだ経営の知識を活かし、現在は関西の医療法人・社会福祉法人のコンサルティングを担当。