介護事業の開業助成金・フランチャイズなど公的&民間の支援が充実

介護事業を開業・経営する魅力

一時に比べて介護事業所の経営が難しくなっているのは否定できません。しかし、世の中の役に立つということでは、介護が最も実感を持ちやすい業界のひとつであることには変わりありません。また、公的なもの・民間のものを問わず支援体制が充実しているのも介護業界の大きな特徴です。開業・経営の検討を始めたら、まずはこれらの支援体制をチェックしてみましょう。

社会貢献はほかの事業にはない介護事業の魅力です。同時に経営上の魅力も十分にあります。

社会貢献の魅力

介護事業は社会福祉のなかで重要な位置を占めています。

社会福祉とは「貧困・障害・高齢など生活上の問題を抱えている人たちへの援助活動」と考えればいいでしょう。公的扶助と福祉サービスが2本柱です。

公的扶助は主に経済的な援助を指し、生活保護制度がその代表です。

一方、福祉サービスは、日常生活のなかでの困難や障害を解消・緩和させ、それぞれの人が自立生活できるように手助けすることをいいます。介護事業はこの福祉サービスの一部です。

介護事業を経営したり、スタッフとして働いたりすることは、それだけで人々の幸せに貢献することになります。しかも、自分がした仕事がどこで役立っているかわからない職業も珍しくないのに対し、介護事業の場合は直に利用者と接します。利用者本人やその家族らから、毎日何度も「ありがとう」と言ってもらえるでしょう。

訪問介護や通所介護の場合、利用者は地元の住民です。介護付き有料老人ホームならば入居してそこが利用者の生活の場になります。いずれの事業形態であっても地元とのつながりが強く、経営者やスタッフも「地域社会に参加し、貢献している」という実感が持てるのも、介護事業の魅力のひとつでしょう。

経営上の魅力

「社会福祉の責任は最終的には国が持つ」というのが国の方針です。介護事業の手続き窓口などは地方自治体に移されつつありますが、基本には変わりありません。

介護保険制度が用意されているのもその表れです。料金も、利用者が支払う分は一部で、大部分が介護保険制度からです。「支払いを踏み倒されたらどうしよう」といった心配はありません。

都会だけではなく、地方都市や田舎でも事業展開できることも、参入しやすい理由のひとつです。これからも高齢化社会が進み、利用者が増えるのは確実視されています。ただし、参入が増え、一部に過当競争気味の地域もあります。あまり楽観しすぎずに、今後はやや慎重な事業計画が必要なことは押さえておきましょう。

介護事業に向いているのは

訪問介護・通所介護ならば小規模経営も可能です。介護専門のフランチャイズ会社やコンサルティング会社もたくさんあり、未経験者でも強力なサポートを受けることができるでしょう。未経験者による個人経営でも参入しやすいのが介護事業の特徴なのです。

企業の場合には、全くの畑違いからよりも、できれば本業などほかの事業が介護に関連している分野で関わるのがいいでしょう。相乗効果が期待できます。例えば、建築会社の場合は施設の建設、不動産会社ならば土地・建物の確保、飲食関係ならば食事の提供といった具合です。

開業に必要な手順

介護事業者指定を受けなければ開業できないのは、介護事業の大きな特徴です。手続きは一般的な許認可事業よりもややハードルが高くなっています。

同時進行や例外もありますが、まずは、(1) 訪問介護・介護付き有料老人ホームなどの事業形態の決定、(2) 法人の設立、(3) 事務所、設備・備品、スタッフなどの確保、を済ませます。

法人であることは指定を受けるための条件になっています。また、スタッフなどもどれだけ必要かは事業形態ごとに介護保険法で決められています。

これらが用意できたら、(4) 介護事業者指定申請、です。指定を受ければ、後は一般的な事業と変わりありません。役所でさまざまな手続きを済ませ、追加のスタッフ確保をします。社内規定を作る・研修を行うなど社内体制を整え、開業を迎えることになります。

介護事業に対する公的支援制度

介護事業の経営者・スタッフに対する公的支援には助成金・講習会・相談など多種多様なものが用意されています。

公的助成金も介護業界専用のものが用意されている

介護事業向けに用意されている代表的な公的な資金援助には「職場定着支援助成金・介護労働者雇用管理制度助成コース 」と「職場定着支援助成金・介護福祉機器助成コース 」があります。

また、事業一般を対象に用意されていて、介護事業でも利用できるものが少なくありません。小規模な介護事業所ならば、「中小企業労働環境向上助成金(個別中小企業助成コース)」などが使いやすいでしょう。

研修・職業訓練、相談なども介護業界用のものがある

人材育成・確保面の支援制度の中心になるのが、国の「福祉・介護人材確保緊急支援事業」と「福祉人材確保重点対策事業」です。内容としては、相談・指導・職業訓練などです。

実際の窓口は、緊急支援事業は都道府県福祉人材センター、重点対策事業は都道府県労働局とハローワークです。

フランチャイズやコンサルティングを利用する

介護事業への支援体制は公的なものばかりではありません。フランチャイズやコンサルティングといった民間のものも充実しています。

フランチャイズを利用するメリットとデメリット

フランチャイズに加盟すると、本部から開業や運営のノウハウを提供してもらえます。スタッフのみならず経営者にも研修が用意されていることが珍しくありません。自分たちでホームページを運営したり広告を出したりしなくても、フランチャイズ会社のブランド力で利用者を集めることができます。

ただし、公的な支援が無料や格安なのに対し、フランチャイズでは加盟料やロイヤルティーといった費用がかかります。

本部のマニュアルどおりに運営をすることをマイナスと感じる経営者もいるかもしれません。サービス内容などにばらつきがあると、ブランドイメージが混乱するため、独自性は歓迎されないのが普通です。

コンサルティング会社を利用するメリットとデメリット

コンサルティングは必要に応じてさまざまな使い方ができます。開業準備のときだけ契約することもできれば、長期契約して経営全般を見てもらうようなパターンもあります。あるいは、1日か数日だけ介護現場を見てもらって、気がついたことをアドバイスしてらうことも可能です。自分たちが持っていないノウハウが得られ、第三者としての冷静な目で診断してもらえます。

ただし、こちらもやはり費用がかかります。また、質の低いコンサルティング会社やコンサルタントが交じっており、必ずしも役に立つとは限りません。あるいは、コンサルティング会社側には問題がないにもかかわらず、事業所の経営者やスタッフの努力不足で指導を活かしきれないような例もあります。

丸投げして終わりにするのではなく、自分たちの側からのチェックや努力も必要なことは覚えておきましょう。

ほかの事業に比べてのメリットはまだ残っている

これからの介護事業には念入りな事業計画と慎重な運営が必要です。そう意識して利用できる公的・民間の支援体制をチェックしたら、これほど充実している業界はほかにないことに気がつくでしょう。これらをうまく使えるかどうかが、開業の準備や参入後の経営を左右します。